かーぎの日記

どこかのWebデザイナーの気ままなブログ

作ってたものが自己満足だと気付かされ爆死した美大生の話

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デザイナー、編集者、漫画家…どんなクリエイターでも忘れちゃいけないことをようやく最近実感した。本当に「伝えたいこと」をちゃんと、考える。

 

こんにちは、最近オレンジ、グレープフルーツ、ブドウ、桃をもらってウハウハなフルーツ大好きデザイナー、かーぎです。

 

最近出版社の編集者、雑誌作りのプロとお話をして、自分の低レベルさに気付かされ爆死した話をします。爆死して良かったと思ってるのでここに気持ちを残しておきます。読んだ人もぜひ反面教師として活用してください。

 

 

編集のプロに「面白くない」とハッキリ言われた話

私は現在大学のフリーペーパー(無料配布の手軽な雑誌)を作るサークルに所属しています。入ってからすでに2冊冊子を作る経験をしました。

冊子作りやサークルに楽しみを覚え、デザイナーとしても成長した気でいました。しかしとんだ思い違いだったのです…。

 

デザインの授業を通して知り合った編集者、Tさん。彼は雑誌作りのプロで、書店に並んでる雑誌を多く手がけています。Tさんに今までに私が携わったフリーペーパーを見てもらいました。さらっと見てもらうと、

 

「いいんじゃない?」

(汗)

 

最初の感想はこれだけでした。ヤバさを感じてきます。そのセリフ特にいうことないから出てくる奴じゃね???2回目、もっと学ぶべくさらに話を伺います。

 

「うーん…大学生こうなりがちだよね。特に、面白くない。」

ガーーーン!!!

 

私がなんとなく不安に思ってたことをストレートに指摘されてしまいました。グェ。プロの目からすると大学生がみんなで楽しく作ったわちゃわちゃ本だなーという感想でしょう!そんなことをたくさん言われ、なんか、なんか、冷静になりました。

 

指摘されたのは、

デザインがグチャグチャ、統一感がない

コンセプトがない、読後何も残らない

 

つまり読みにくいし何も伝わってこない。

 

もうこの2点によって圧倒的意味の無さを痛感しました。

今までフリーペーパー作りを本当に楽しんで、本のデザインできるやーーん♪なんて思ってましたがそれはなんてアマチュアな楽しみだったか。大学生だからそれでも許されるんですけど。現状がわかってしまうとそんなんじゃ嫌だな、って。

なんとなく蔓延してる「学生レベル(低い)」というのを実際自分がやってしまっている、悲しさ。これは何としても「楽しいからそれで満足」な今を打ち破らねば!!と思いました。

 

何も伝わらない創作物に半年を捧げるのははっきり言って意味がないです。自分のためにもなってないです。誰のためにもなってないんです。

 

それでいい、そういうジャンル(アートの方面)もあるかもしれませんが、私たちのサークルは、人を取材し、人から広告費をもらい、人に読んでもらうために人に配布しています。それなのに人に伝わっていなかったらいけないと思うんです。

 

営業先に言われた「趣味なの?」に何も言い返せなかった話

今までコンセプトの無さに関しては、サークル全体でうっすら不安感がありました。それは広告費の契約を結んでいるとある営業先に言われた言葉がきっかけでした。

 

「このフリーペーパーってさ、何を伝えたいの?なんで作ってるの?趣味なの?

(汗)(汗)

 

おぉあっふぅ。営業担当者は何も言い返せませんでした。ミーティングで話しても誰も何も言えませんでした。それは今まで「その代が一番楽しく自由にできるように」フリーペーパーの一貫したコンセプトを設定してこなかったからです。

とあるイベントで冊子を見せた時、「このわちゃわちゃ感、賑やかさが大学生らしくていいね」と言われたのですが今思い返すとどう考えてもお世辞というか、良く言っただけでした。

 

コンセプトとは「何を伝えたいか」ということですけど、それを考えてなかったら何も伝わるわけないに決まってるやないかーーーーい!!!単純明快な話です。

 

じゃあどうやって冊子作ってきたんだ?と言うと、「これやってみたーい」「これ聞いてみたーーい」「これ調べてみたーーーい」と言う自分本位な企画立てによって全ページ構成されてました。だから楽しいっちゃ楽しいです。自分たちが読むと楽しいです。それだから読者が読んで楽しいか、得るものがあるか考えられなかったんですよね。

 

ちょっと本作ったことない人には伝わりにくいと思うので、さっき思いついた(絵描きに)わかりやすい例えします。

 

美少女描きたいからとりあえず美少女キャラ出しとくね。あとイケオジも好きだから、キャラ出して…世界観はやっぱ海賊ものかな!ウケそうだし楽しそー!

 

こうして出来上がったタイトルも内容も後付けの漫画。

 

ヤバみ、わかってもらえましたでしょうか。これが弊サークルで起きていた現象なのです…。こんなの面白いわけないし、読みたくないし、なんで作ってるかもわからんし、そら「え、趣味なの?」とも聞きたくなるわーーーーー!!! 

 

Tさんは私たちが漠然と感じていた「伝えたいことのない不安」にビシッと言ってくれました。

 

じゃあ実際どう作ってけばいいのー!?

えー、反省はここまでにして改善のコーナーです。内容とビジュアル、双方簡潔にまとめます。

内容作りはWhat to say, How to say, Why to say

①弊冊子の一番の問題点は「伝えたいこと」がないということでした。つまりTさん的業界用語で「What to say」です。何を言いたいかをはっきりさせます。雑誌は多くの企画・記事で構成されていますが、本全体を通して、1つ、「What to say」があるとベリグーです。

女性層に今までにないおしゃれを提案したい、とか小学生にも分かるようにおもしろ科学現象を紹介したい、とか大学生にレトロな生き方の良さを伝えてたい、とかそういうことです。

 

②どう伝えるか、「How to say」も大事です。

女性向けにしたいならこういう雰囲気のデザインにしよう、ビジュアルメインにしよう、共感を集めるためにインタビューを増やそう、とか実際行動して欲しいならわかりやすく手順を図説しよう、信用性・安全性を高めるために専門家に質問しよう、統計情報を多く載せよう。とかとか。そう言うことです。

 

③Tさん曰く意外と忘れがちな「Why to say」たしかにたしかに。存在意義に関わることなのですが、この世の中雑誌は無数にあって、私たちと同じように自分の大学を紹介する冊子なんて死ぬほどある上、毎年何冊も発行されています。その中でどうして私たちもそれを生もうとするのか。プロの大人たちが公式で大学冊子を作ったりもしています。じゃあ同じコンテンツで似たようなこと紹介をしてなんの意味があるのか。楽しいからで終わっていいのか。

今一度考える必要があるでしょう。どうして私たちは誰のためになんのために、貴重な大学生のモラトリアム期を割いてこの本を作っているのか。身の回りの問題点の発見からこの議論は発展していけるでしょうね。

 

ビジュアル作りは先割りが基本!しかし後割りをしていた…

先割りってのは①取材→②デザイン→③文章、の順で雑誌を作ることです。①の前にラフデザインがあったりもします。つまり作りやすい段階でデザインを形作ってしまうのです!ビジュアル優先!文章はデザイン時点で仮置きした文字数と全く同じ文章を考えてくる。これでスッキリ解決です。

逆に後割り①取材→②文章→③デザインの順で作ってしまうと②で際限なくとりあえず文章を書く③のデザイナーが膨大な文をどう綺麗にまとめるか悩む、最終的にもギチギチした圧迫感ある本が出来上がります。問題点しかないです。取材後の文字起こしは忘れないためのメモとしましょう。そうしてください。デザイナーからのお願いです。

 

編集部の動かし方

グループ運営って難しいですよね…。私も去年それで圧死しました。自分で1つ作るんはコンセプトも定まりやすいし自分のペースでできるし。グループ、編集部として1つの良い本を作るとなるとちょっとコツがいるようです。

編集長が引っ張ってゆけ!

編集長!あなたがどんどん引っ張っていくのです!本の完成図はあなた次第です!一貫した「伝えたいこと」や「伝えたい雰囲気」が大事だと言いました。言いましたよね?たしか。メンバーで共有はもちろんなのですが、グループワークだとどうしても道がそれがち、メンバーが自分勝手になりがち、です。何よりも本のためを思い、みんなの軸になってください。

ファッショナブルでかっこいい本を作るはずなのにふわふわパンケーキ店で癒されよう企画が出されたら切ってあげてください。デザインラフがなんか雰囲気違うなと思ったら、もっとこうしたいって言ってあげてください。「この人はこう言うデザインがやりたいんだな」で許しちゃうのは本のためになりません。伝えたいことが伝わる可能性が低まります。大学生がただ楽しくやってるだけ本への道一直線です。

あなたの一貫した思いが大切なんです。

 

メンバーは自分の強みを最大限に活かせ!

じゃあメンバーは?ただ編集長にこき使われる作業ロボ??いやいやいや。メンバーこそ本の魅力を最大に引き出す実行者です。グループ内でまず、メンバーの強みを共有しましょう。

「俺はとにかく面白い人に取材したい。」「僕はシャレの効いた文章を書くのが好き」「私はみんなのまとめ役が得意、方向修正できる冷静な分析が強み」などなど。

バラエティに富んだメンバーで構成されているとその分補い合うことができます。個々の特性をよく把握し、自分が一番得意なこと、やりたいこと、好きなことを果たしましょう。それがチームのためにもなるし、自分のためにもなります。

日本社会では苦手なことを克服させられる、なんてツイートがバズったりしましたが、グループワークにおいてそれは効率の悪いことです。得意なことをそれぞれがやり、支え合う、この方法が編集部にとっては一番良いことです。完璧人間になる必要は全くないです。

 

同じ仲間が何をやりたいかよくわからない人は今一度話し合ってみませんか。私は明日話し合ってきますので。

 

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本当にほぼありのまま、サークルのことを書きました。

団体内部情報をここまで言って大丈夫だったのか、もしブログの更新が途絶えたら内部の者に消されたということでしょうね。

でも私はこの発見・気づきが悪かったなんて思いません。今まで毎年本を作ってきて、上手くできた達成感を得たり、時間をかけてメンバーで協力して1つの作品を作る素晴らしい体験を得れたのは事実です。

私たちに頑張る力があるのは今までやってきてわかっている確かなことです。ただ「本の作り方」がわからなかっただけなんです。今、少しわかってきたのでいい方向に舵をきろうと思います。応援してください。

 

(2018/7/14)