かーぎの日記

どこかのWebデザイナーの気ままなブログ

〈ルーベンス展〉“王の画家、画家の王” 圧倒される

この文章は上野の大戸屋で窓ガラス越しに大通りを眺めながら書いてる。

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最終週の上野の美術館は人混みに潰されそう。列がすごいので、セブンで前売りチケットを買ってから、昼間っから上野へ。一人ぼっちで。

ひとりぼっちの東京は楽しい。誰にも気遣うことなく、ただの群衆のモブとして歩く。誰も私に注意を向けないし、周りの建物だって街路樹だって、私の存在に意識を止めない。

 

ルーベンス展。@西洋美術館

キャッチコピーは、「王の画家にして、画家の王。」私はこの言葉にとても納得できた。なぜかというと、昨年夏、パリのルーブル美術館ルーベンスの作品を見てたから。それがこれ。

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圧倒的王者感、、、、

 

(上の2枚の写真はルーブル美術館に自分で撮りにいったものです)

 

ルーブル美術館の一室、全面ルーベンスの絵で埋め尽くされていた。今回の上野の展示はここまでの見せ方ではなかった。こう、ギリギリ問題ないくらいの「ああ、確かに王だ」って思えるくらい。勝手にひざまずいてひれ伏してしまうほどの大きさや量ではなかったかなと思う。

 

展示方法は素敵だった。紺色や赤色の壁紙にルーベンスの絵画、金色の額縁。展示会場の色使いが以前見た色々な展示と似ていたが、それが多分ルーベンスが王たる所以でもあって。

 

印象的だった説明が「ルーベンスは”普遍的”だ」と言うもの。何やら「ここでの意味は~」などと言い訳のようなおだてる言葉がその後に並んでいたが、大丈夫、ちゃんと良い意味で普遍的だということが分かる。

ルーベンスは「THE・西洋絵画」という意味で普遍的なのでは?描かれるものは、宗教画、神話画、肖像画といったルネサンス絵画の王道をゆく。実際彼は、レオナルド・ダヴィンチやティツィアーノの絵画をよく観察し、模写し、参考にしていたらしい。なるほど納得な作風である。

 

こういった盛期ルネサンスの絵画に影響されて描く画家は多いが、やはり比べてみるとルーベンスは質が高い。大きなキャンバスに怯まず堂々とした構図、人物の大きさで画面を構成する。筆致も緩すぎず、固すぎず。丁寧さと勢いを良い塩梅でコントロールして混ぜたのがこちらです、って感じ。髪の毛の部分は特に筆使いがかたくなくて上手いなぁと思う。

 

面白かった絵画は2つ3つほど。

  1. 1つは「おじさんたちが人妻に身体を許すよう脅したら断られたので、人妻が若い男と浮気してた話をでっち上げて死刑に追い込むも、直前で冤罪だとわかりおじさんたちが吊るされる話」の人妻を脅してるシーンという絵画。ルーベンス、、なんてものを描いとんねん、、、思ったのは、500年経っても人は進歩しねぇんだなということ。クソ男は昔からいるんだ、、。クソめ、、、、。ハピエンでよかったよほんとに。

  2. もう1つは「浮浪者で餓死しそうなおじいさんに美しい娘が母乳をあげて飢えを凌ぐ」絵。いやだからなんて設定の絵を、、、。しかもほんとに娘さんが美人で構図バッチリで絵がかっこいいのでニクい!もう!裏テーマは「慈愛」とのこと。よかったねおっさん。 

こういう話がちょいちょいあるから、宗教とか神話とか世界史に詳しくなりたくなるのよね。

 

残念ながらルーベンスの絵画で気に入ったものはルーブル美術館の時から更新されず。今回ルーベンスにハマった人がいたらぜひルーブル美術館のあの部屋に行って圧倒されて欲しい。

 

それにしても休日の上野は混んでいて。嫌だけれど、休日に美術館に来る人がこんなにいるんだって思うとちょっと嬉しくもなる。
(2019/1/19)